妄想バカの話です。
仕事中、応接室に呼ばれたのでなにかな~と思いながら行ってみると部長、直属の上司である課長、それと30代くらいの女の人が座っていた。
女の人は私を見るなり「あなたが◯山◯子!?」と食ってかかってきた。
部長達に止められ、座りなおしたがとにかく怒ってて
「私、佐藤(仮)の家内です。私が来た理由分かってますよね!?」
佐藤と言われてもそんな名前の人たくさんいるしわからん。
部長が「佐藤太郎さんだよ」と言ってくれたがそれでもわからん。
佐藤奥さんは「白々しい!」とか怒ってるけど、わからんもんはわからん。
課長が「◯◯部の、こんな顔で、こんな髪型で、この位の年で、こんな仕事してて・・・」と詳しく説明されて、やっと「もしかして◯◯の仕事してる方ですか?」と言うとそうだという。
でも私としては「だから何?」って感じ。
だって私は佐藤太郎さんとは友人どころか知人ですらない。
年も離れてるし(私24、佐藤さん4~50代)、仕事も全く別だし、会話も挨拶程度にしかしてない。
でもなんか話を総合すると、佐藤さんと私は不倫中らしい。
しかも奥さんと別れて私と結婚する気だとか何とか。
「本人を前にしていつまでしらばっくれられるかしら」とか言われて困惑。
ちょっとしたら佐藤太郎さんが入ってきた。
実は私の想像していた佐藤さんとは違う人で、つい最近見かける様になった人。
年は20代後半か30代前半って感じ。
わかい奥さんだと思ってたけど納得。
最初奥さん私の言う事を信じてくれなかったし(当然か)佐藤さんもゴニャゴニャと私と付き合ってる、みたいな事を言うので揉めた。
「本当に私と付き合ってると言うのなら、私の事色々知ってますよね?」とガンガン追及した。
まず下の名前。
仮にハルコだとする。
普通ハルコと言われたら晴子、春子、とか想像するけど波瑠子みたいな当て字の入っためんどい名前。
当然書けない。
家の特殊な家族構成。
これも言えない。
私の家庭内の愛称。
母代りの叔母の夫が外人なんでイタリア語。
当然言えない。
奥さん、訳が分からないって顔してたけど、佐藤さんはどんどん真っ赤になって行く。
最後には「何で言えないの!?言えるんでしょ!?言ってよ!」と「不倫してて欲しかったんかいw」てな事まで言う始末。
色々話して分かった事。
・◯子ハート、な登録名のアドレスが、自宅PCの物と奥さん確認。
電話番号はでたらめ。
その場でかけたら「おかけになった電話は~」
・私の出身地も知らない事。
・佐藤さんが一方的に私に好意を寄せていただけ。
・奥さんが持ってきた証拠というのがいわゆるハメ鳥なんだけど、その相手は出会い系で知り合った子。
・私とのラブラブメールは自分の携帯とPCを使った自作自演。
・家を空ける事が多くなったが、隣に私が座っていると想定した疑似ドライブデートだったり。
・私の家とかも実は知らない。その内付きとめる予定だった。
・自作自演メールを見られ、切羽詰まったのと自分の中の◯子にウソ付きたくなかったから認めた。
奥さん震えだして「この変態!」って言いながら佐藤さんを殴るが、佐藤さん無反応。
そしたら吐き気催しちゃって口元抑えて部屋を出て行った。
何か心配になって「トイレの場所分かるかなぁ・・・ちょっと見てきます」と立つと、佐藤さんが「君は優しいよね!」と号泣。
後は佐藤ハイパー愚痴タイム。
奥さんがきつい人だってのは今日の事で分かってもらえたと思う。
毎日辛い。
転職したばかり、しかも派遣で毎日責められていた。
そんな時に◯子(呼び捨てすんなボケと思った)に優しくされて嬉しかった。
とか。
「私何もしてませんが?」と言うと荷物持ってる時ドアを開けててくれた、笑顔であいさつしてくれた、落としたペンを拾ってくれた、とか「誰でもやるじゃん!!!!!!」てな事をグダグダと・・・。
んで上司にも懇々といかに自分が辛いかと訴えるし。
呆れて私は奥さんの様子を見に行ったらトイレで泣いていたので声をかけずに戻った。
応接室では佐藤ハイパー説教タイム。
私ここに居る意味ないな~と思って「仕事が残っていますので戻ってもいいでしょうか」と言うと佐藤さんが「まじめでしっかりしてるんですね」とかほざいてまたハイパーお説教再開。
wktkで待ってた同僚たちに事情話したら、あっという間に広がった。
当然佐藤さんを会社で見る事は無くなった。
幸いにして皆が私の言い分を信じてくれて、下世話な噂を流される事も無かった。
私は社内で一躍時の人となり、色々な人に話しかけられて友達が増えて会社も楽しくなったw
おまけに部長と課長に肉食べさせてもらってウハウハw
事の顛末を聞いた彼氏が「心配だから」とプロポーズしてくれたw
最近ツイてる~と思ってナンバーズ買ってみたら1万くらい当たったw
佐藤さんって猫背でオドオドしてて陰気で、何かいかにも気が弱そうで、影が薄くて、不幸そうで、運も悪そうな人だったんだけど、もしかして他人の不幸を吸い取る人だったんだろうかw
後日、佐藤さんの奥さんから謝罪受けた時だけは心が痛んだけど、奥さんも吹っ切れて、佐藤さんと別れて子供と生きてく決心をしたそうだ。
佐藤さんは実家強制送還で、漁師の修行中らしい。
そして私は幸せだ。